はじめに、投資で「損」しても得することがある?
投資をしていると、
「株では利益が出たけど、投資信託では損をした」
「トータルではプラスなのに、税金が多く引かれている気がする」
そんな経験はありませんか?
実は、投資で出た利益(=譲渡益)と損失(=譲渡損)を相殺して、
税金を少なくできる制度があるのです。
それが「損益通算(そんえきつうさん)」。
初心者でも理解すれば、立派な節税テクニックになります。
損益通算とは?
損益通算とは、投資で得た利益と損失を合算して税金を調整する制度のことです。
たとえば、こんなケース👇
| 取引内容 | 損益 |
|---|---|
| 株式Aで+10万円の利益 | +10万円 |
| 株式Bで−5万円の損失 | −5万円 |
| 損益通算後の課税対象利益 | +5万円 |
この場合、利益10万円にそのまま課税されるのではなく、
損失を引いた差額の5万円に対して税金がかかるのです。
つまり、損益通算をすれば、余計な税金を払わずに済むということ!
投資で損益通算できる代表的な対象
損益通算は、すべての投資でできるわけではありません。
金融商品ごとに「通算できるもの」と「できないもの」があります。
| 対象商品 | 損益通算できる? | 補足 |
|---|---|---|
| 上場株式 | ✅ できる | 現物株、ETFなど |
| 投資信託 | ✅ できる | 一般・特定口座の課税対象商品 |
| REIT(不動産投信) | ✅ できる | 上場タイプは株式と同様扱い |
| 公募債券(国債・社債) | ✅ 一部可能 | 利子所得との損益通算は不可 |
| FX・仮想通貨 | ❌ 不可 | 区分が「雑所得」扱いのため |
👉 ポイント:株式・投資信託・ETFなどの「譲渡所得同士」なら通算可能。
実際の損益通算のやり方
損益通算は、証券会社の口座の種類によって方法が異なります。
特定口座(源泉徴収あり)の場合
最も手間がかからないタイプ。
利益と損失は同一証券会社内で自動的に通算されます。
たとえば、楽天証券やSBI証券で複数ファンドを持っていても、
その口座内で利益・損失を自動計算してくれるので安心です。
注意:
異なる証券会社間では自動通算されないため、
別の口座で損失が出た場合は確定申告が必要です。
特定口座(源泉徴収なし)・一般口座の場合
この場合は自分で確定申告をして通算します。
「年間取引報告書」を入手し、確定申告書の「株式等の譲渡所得」欄に記入します。
💡 確定申告は毎年2月中旬〜3月中旬。
損益通算をしたい年の翌年に行います。
損失の繰越控除とは?
損益通算で控除しきれない損失が出た場合、
翌年以降3年間にわたって繰り越すことができます。
これを「繰越控除(くりこしこうじょ)」といいます。
具体例
2025年に −30万円の損失が出たが、
他に利益がなく相殺できなかった場合、
→ 2026年以降の利益から順次差し引いて節税できます。
| 年 | 損益 | 通算後の課税対象 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2025年 | −30万円 | 0円(繰越) | 翌年以降に使用 |
| 2026年 | +20万円 | 0円(−10万円繰越) | |
| 2027年 | +15万円 | +5万円課税 | 3年目で完了 |
ただし繰越控除を使うには毎年確定申告を継続して行う必要ありです。
1年でも申告を忘れると、その時点でリセットされてしまいます。
節税効果のシミュレーション
仮に、以下のような投資結果になった場合を見てみましょう。
| 年 | 利益・損失 | 損益通算前の税金 | 損益通算後の税金 |
|---|---|---|---|
| 2025年 | 利益30万円、損失20万円 | 約6万円 | 約2万円 |
| 2026年 | 利益10万円、繰越損10万円 | 約2万円 | 0円 |
合計で約6万円の節税効果に。
これが「損益通算+繰越控除」を上手く使うメリットです。
初心者が損益通算を活用するコツ
-
特定口座(源泉徴収あり)で運用する
→ 自動通算でミスが少なく、確定申告が不要な場合が多い。 -
複数口座の損益は申告でまとめる
→ 異なる証券会社の損益は自動合算されないので注意。 -
年間取引報告書は必ず保管する
→ 確定申告時の証拠書類になります。 -
損が出た年ほど確定申告を忘れずに!
→ 繰越控除で翌年以降に節税チャンス。 -
配当金・分配金も通算対象にできる場合がある
→ 「総合課税」ではなく「申告分離課税」を選ぶと、株の損失と相殺可能。
注意点:NISA・iDeCoでは損益通算できない
NISA口座やiDeCoは「非課税制度」なので、
そもそも利益にも損失にも税金がかかりません。
したがって、損益通算の対象外です。
(つまり、NISAで損をしても他の利益と相殺できません)
👉 節税の観点では、課税口座(特定・一般)との使い分けが重要になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 投資信託の分配金も損益通算できますか?
→ 申告分離課税のものなら可能です。総合課税扱いの分配金は対象外です。
Q2. 損益通算の期限は?
→ 申告は翌年3月15日まで。繰越控除は最長3年間有効です。
Q3. 仮想通貨(暗号資産)やFXは対象?
→ いいえ。雑所得扱いのため、株や投信の損益とは通算できません。
まとめ:損しても「節税でトクする」のが賢い投資家
損益通算は、「損をムダにしない」ための大事な仕組みです。
特に投資信託や株式を運用している人は、確定申告で数万円〜数十万円の節税になる可能性も。
ポイント
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同じ課税区分内なら損益通算が可能
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控除しきれない損は3年間繰り越せる
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NISAやiDeCoでは対象外
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特定口座(源泉徴収あり)なら自動で通算される
「利益を出す力」だけでなく、「税金を減らす知識」も投資の一部。
損益通算を上手に使って、あなたの資産形成をさらに効率的にしましょう。

